実家・親の家のリースバック|介護費用・老人ホームの資金づくりと注意点
親の介護費用や老人ホームの入居金を、実家を売らずに住み続けたまま準備できるのがリースバックです。親名義の家で利用する条件、認知症になる前に動くべき理由、家族で確認すべきポイントを解説します。
約13分で読めます
「親の介護費用をどう工面するか」「実家をこのまま空き家にしていいのか」——親の住まいとお金の問題は、多くの家族が直面する悩みです。リースバックを使うと、実家に親が住み続けたまま、まとまった資金を準備するという選択肢がとれます。
✓この記事のポイント
- リースバックなら実家を売却して介護費用・入居金を確保しつつ、親はそのまま住み続けられる
- 契約できるのは原則として名義人(親)本人。子どもが代わりに売ることはできない
- 親が認知症になり判断能力を失うと契約は原則できなくなるため、元気なうちの検討が重要
- 将来老人ホームへ住み替える場合は賃貸借契約を解約すればよく、空き家の管理問題も避けられる
- 相続財産が現金に変わるため、きょうだい間の遺産分割がしやすくなる面もある
実家のリースバックが選ばれる場面
リースバックは、自宅を売却して代金を受け取ったあと、買主と賃貸借契約を結んで同じ家に住み続ける仕組みです(基本の仕組みはこちら)。実家・親の家では、次のような場面で検討されています。
- 在宅介護の費用を準備したい:介護保険の自己負担・リフォーム・介護サービスの費用をまとめて確保
- 老人ホームの入居一時金を準備したい:入居まで実家に住み続け、住み替え時に賃貸借契約を解約
- 年金だけでは生活費が足りない:親の生活資金を、子どもの仕送りに頼らず自宅資産から捻出
- 実家を空き家にしたくない:親が施設に入ったあとの管理・固定資産税の負担を避けたい
- 相続に備えたい:不動産を現金化しておき、きょうだい間で分けやすくする
「売る」と「住み続ける」を両立
通常売却では親の転居が前提になりますが、リースバックなら住環境を変えずに資金化できます。高齢の親にとって、住み慣れた家と地域を離れずに済むことは大きな安心材料です。
親名義の家は「親本人」の契約が必要
実家のリースバックで最初に確認すべきなのが名義です。
- 売買契約・賃貸借契約を結べるのは、原則として登記上の所有者(親)本人です
- 子どもが親の代わりに勝手に売却することはできません
- 親と子の共有名義になっている場合は、共有者全員の同意が必要です
子どもが手続きをサポートすること自体は問題ありませんが、契約の意思決定はあくまで親本人が行います。査定や面談の段階から親子で同席し、家族全員が条件を理解したうえで進めるのが安心です。
認知症になってからでは原則契約できない
見落とされがちですが、非常に重要なポイントです。所有者が認知症などで判断能力を失うと、売買契約は原則としてできなくなります。
成年後見制度を利用する方法もありますが、後見人が居住用不動産を処分するには家庭裁判所の許可が必要で、本人の利益に照らして慎重に判断されるため、資金づくりを目的とした売却は認められないこともあります。
検討は「親が元気なうち」に
「介護が必要になってから」「施設入居が決まってから」では、判断能力の問題で契約自体ができなくなるリスクがあります。実家の資金化を選択肢に入れるなら、親が自分で意思決定できるうちに家族で話し合っておきましょう。
実家リースバックの進め方
- 1
家族で方針を話し合う
介護・住まい・お金の希望を親子で共有し、リースバックのほかに通常売却・住み替えなどの選択肢も比較する。
- 2
名義・ローン残債を確認する
登記名義(単独か共有か)と住宅ローンの残債を確認。残債があっても売却代金で完済できれば利用可能。
- 3
無料査定で条件を確認する
売却価格と家賃の概算を複数社で比較。親の年金・貯蓄で無理なく払える家賃かを確認する。
- 4
契約形態・期間を確認して契約
普通借家か定期借家か、施設入居時に解約できるかなどを確認し、親本人が契約する。
- 5
資金を受け取り、そのまま居住
売却代金を介護費用・入居金・生活費に充当。引っ越しは不要。
手続き全体の流れはリースバックの流れ・手続きでも詳しく解説しています。
家族で確認しておきたい注意点
1. 家賃を誰がどう払い続けるか
売却後は毎月家賃が発生します。親の年金で払えるのか、子どもが一部を負担するのか、長期の資金計画を家族で共有しておきましょう。売却価格を抑えると家賃も下がる関係にあるため、「一括でいくら必要か」「毎月いくらなら無理がないか」のバランスが大切です(価格と家賃の決まり方)。
2. いつまで住むのか・契約形態
在宅で暮らし続けたいなら、期間の定めのない普通借家契約が安心です。数年後の施設入居を見込んでいるなら、契約期間と中途解約の条件(違約金の有無)を必ず確認しましょう。契約形態の違いは普通借家と定期借家の違いで解説しています。
3. 相続への影響をきょうだいで共有する
実家を売却すると、相続財産は不動産から**現金(売却代金の残り)**に変わります。分けやすくなる一方で、「実家を継ぐつもりだった」家族がいると後々のトラブルになりかねません。契約前にきょうだい・相続人間で情報を共有しておくことを強くおすすめします。
4. 税金の確認
マイホーム(居住用財産)の売却には3,000万円の特別控除があり、税金がかからないケースが多くあります。ただし適用には要件があるため、詳しくはリースバックにかかる税金を確認し、必要に応じて税理士に相談しましょう。
よくある質問
Q. 子どもが親の代わりに実家をリースバックできますか? A. できません。契約できるのは登記上の所有者である親本人です。親が認知症などで判断能力を失うと契約自体が難しくなるため、元気なうちに親子で検討することが重要です。
Q. 親が将来老人ホームに入る場合、賃貸借契約はどうなりますか? A. 賃貸借契約を解約して退去すれば、以後の家賃はかかりません。定期借家契約などでは中途解約の条件や違約金の定めがある場合があるため、契約前に確認しておきましょう。
Q. 実家に住宅ローンが残っていても利用できますか? A. 売却代金でローンを完済できる見込みがあれば利用できる場合が多いです。詳しくは住宅ローンが残っている場合の解説をご覧ください。
Q. 実家を売ると相続税や贈与税はかかりますか? A. 売却代金は親の財産のままなので、売却自体で贈与税はかかりません。売却益には譲渡所得税がかかる場合がありますが、居住用財産の3,000万円特別控除で非課税になるケースが多くあります。
まとめ
実家・親の家のリースバックは、「介護費用や入居金を準備したいが、親を住み慣れた家から動かしたくない」という家族にとって有力な選択肢です。ただし、契約できるのは親本人だけであり、認知症になってからでは間に合わないことがあります。名義・家賃の負担・契約形態・相続への影響を家族全員で共有し、早めに検討を始めましょう。
あわせてメリット・デメリットの整理、向いている人・向かない人もご覧ください。関西エリアの実家に関するご相談・無料査定はお問い合わせフォームで承ります。ご家族同席でのご相談も歓迎です。
この記事の執筆・監修
リースバックス 編集部編集部
リースバック・不動産売却に関する情報を、公的機関や事業者の公開情報をもとに調査し、利用者目線でわかりやすくお届けする編集チームです。制度や相場は変化するため、最新情報は専門家への確認を推奨しています。
監修:松浦 誠大宅地建物取引士
株式会社ハース所属の宅地建物取引士。大阪・梅田を拠点に、リースバックを含む不動産売買・賃貸借の実務に携わる。実務者の視点から、記事内容の正確性を確認しています。
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