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リースバック後の火災保険と地震保険|誰が入る?借主が備える補償
基礎知識

リースバック後の火災保険と地震保険|誰が入る?借主が備える補償

リースバック後の火災保険は、建物は買主(新しい所有者)、家財と借家人賠償責任は借主が備えるのが基本です。地震保険の仕組み、自宅が全壊したときの賃貸借契約の扱い、切り替えの手順と契約前に確認したい項目を整理します。

約20分で読めます

リースバックで自宅を売却すると、住み続ける家は同じでも「持ち主」は買主に変わります。そのため、これまで自分で掛けていた火災保険・地震保険も掛け方が変わります。切り替えを曖昧にしたまま契約すると、火事や地震のときに「誰の保険で、何が補償されるのか」がわからず困ることになりかねません。この記事では、リースバック後の保険の分担、地震保険の仕組み、自宅が大きな被害を受けたときの契約の扱い、切り替えの手順を整理します。

✓この記事のポイント

  • 建物の火災保険・地震保険は、所有者である**買主(新しい所有者)**が掛けるのが基本
  • 借主(売主)は家財保険と借家人賠償責任保険を備えるのが一般的。賃貸借契約で加入を求められることが多い
  • 火災保険だけでは地震が原因の火災・損壊は補償されない。家財の地震への備えは借主自身の地震保険で
  • 地震などで家が全部使えなくなると、賃貸借契約はその時点で終了するのが民法の原則
  • 保険の分担と「被災したときの扱い」は、売却価格・家賃と並べて契約前に書面で確認する

リースバック後の保険は「建物」と「中身」で分かれる

持ち家のときは、建物も家財も自分の財産なので、ひとつの火災保険でまとめて備えていた方が多いはずです。リースバック後は、建物は買主の財産、家具・家電などの家財は自分の財産になります。保険も、この「持ち主の違い」に合わせて分かれます。

保険誰が入るか何に備えるか
建物の火災保険買主(新しい所有者)火災・落雷・風災・水災などによる建物の損害
建物の地震保険買主(加入するかは買主の判断)地震・噴火・津波による建物の損害
家財保険(火災保険)借主(あなた)家具・家電・衣類など自分の持ち物の損害
家財の地震保険借主(あなた)地震・噴火・津波による家財の損害
借家人賠償責任保険借主(あなた)自分の過失で借りている家に損害を与えたときの、貸主への賠償

国土交通省の賃貸住宅トラブルの相談事例集では、賃貸借契約の際に火災保険や借家人賠償責任保険への加入を求められることについて、法令で強制されているものではないものの、契約条件になっている場合は加入が必要と考えられる、と整理されています。リースバックでも、賃貸借契約の条件として加入を求められるのが一般的です。

建物の保険は買主が掛ける

建物の所有権が買主に移るので、建物の火災保険は買主が掛けます。これまで自分が掛けていた建物の保険は、引き渡しに合わせて解約するか、家財のみの契約に切り替えるなど見直しが必要です。長期契約の保険料を一括で払っている場合、解約で未経過分の保険料が戻ることがあります(返戻の有無や金額は保険会社の規定によります)。

建物の保険料や固定資産税は所有者の負担になるため、持ち家時代の維持費はその分軽くなります。ただし買主は、こうした維持費も織り込んで家賃を設定するのが一般的です。維持費の変化の全体像はリースバック後の固定資産税は誰が払う?、家賃の決まり方はリースバックの家賃の相場と計算方法で解説しています。

保険を解約するのは引き渡しの後に

建物の保険を早めに解約してしまうと、引き渡しまでの間に火事が起きたとき補償がない「空白期間」ができます。解約日は、決済・引き渡しの日と買主の保険の開始日を確認してから決めましょう。

借主が備える2つの保険

家財保険

家具・家電・衣類・趣味の品など、自分の持ち物への備えです。建物は買主の保険で直せても、燃えてしまった家財は自分の保険でしか補償されません。長年住んできた家は家財も多く、買い直すと大きな出費になりがちです。

借家人賠償責任保険

借主の過失で火事や水漏れを起こし、借りている家に損害を与えた場合に、貸主(買主)への賠償に備える保険です。国土交通省の相談事例集でも、居住者の過失で建物を傷めた場合、貸主に対しては賃貸借契約に基づいて損害賠償責任を負うと整理されています。家財保険の特約としてセットで加入する形が一般的です。

あわせて、水漏れで階下の住戸に損害を与えたときなどに備える個人賠償責任保険が付いているかも確認しておきましょう。マンションのリースバックでは特に大切です(マンションのリースバックの特徴と注意点)。

地震保険の仕組みとリースバックでの考え方

財務省の説明によると、地震保険の主な仕組みは次のとおりです。

  • 対象は居住用の建物と家財(生活用動産)
  • 火災保険に付帯して契約する方式で、地震保険だけで入ることはできない
  • 保険金額は火災保険の保険金額の30〜50%の範囲で決め、上限は建物5,000万円・家財1,000万円
  • 損害の程度に応じて、全損は保険金額の100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%が支払われる(いずれも時価額が限度)

また財務省は、火災保険では地震を原因とする火災による損害や、地震で延焼・拡大した損害は補償されないと説明しています。リースバック後は、建物の地震保険に入るかどうかは買主の判断です。借主としては、自分の家財を地震から守りたい場合、家財保険に地震保険を付ける必要があります。

なお、地震保険料には所得税・住民税の地震保険料控除があります(所得税は最高5万円、住民税は最高2万5千円)。リースバック後に自分で掛ける家財の地震保険料が対象になるかどうかは、契約内容によって変わる可能性があるため、税務署や税理士にご確認ください。

火事や地震で住めなくなったら、契約はどうなる?

リースバックで見落とされがちなのが、「家が大きな被害を受けたら住み続けられるのか」という点です。

  • 家の一部が使えなくなった場合: 借主に責任がなければ、使えなくなった部分の割合に応じて家賃が減額されます(民法611条)。建物の修繕は、原則として貸主(買主)が行う義務を負います(民法606条)
  • 家の全部が使えなくなった場合: 賃借物の全部が滅失などで使えなくなると、賃貸借はそれによって終了します(民法616条の2)

つまり、地震や火事で家が全壊した場合、建物の保険金は所有者である買主に支払われ、賃貸借契約は終わるのが原則です。買主が同じ場所に建て直して、また貸してくれるとは限りません。住み続けることを前提にリースバックを選ぶなら、被災時の扱いを契約前に確認しておくことが大切です。

買い戻しを予定している方は特に確認を

買い戻し特約がある場合、建物が全壊したときに買い戻しの権利や価格がどうなるかは、契約の定め次第です。口頭の説明だけで済ませず、契約書に書かれているかを確認しましょう(リースバックの買い戻しの仕組み)。

切り替えの手順

  1. 1

    今の保険証券を確認する

    建物と家財がひとつの契約か、地震保険が付いているか、満期日と支払方法(一括払いか)を確認する。

  2. 2

    賃貸借契約の保険条件を確認する

    加入が必要な保険の種類と補償額、保険会社の指定の有無を買主に確認する。

  3. 3

    家財保険・借家人賠償に加入する

    引き渡し日から補償が始まるように手続きする。家財を地震にも備えるなら地震保険を付ける。

  4. 4

    建物の保険を解約・変更する

    引き渡しの後に、建物の保険を解約または家財のみの契約に変更し、未経過分の返戻を確認する。

リースバックでの保険の切り替え手順

国土交通省の相談事例集では、保険会社を指定された場合でも、すでに入っている保険(共済を含む)があれば、内容を比べたうえで指定の保険が必要かを相談するのがよい、とされています。今の契約を家財中心に組み替えて使えるか、買主に相談してみましょう。

契約前に確認したいこと

国土交通省のリースバックに関するガイドライン(令和8年7月策定、2026年10月1日施行)は、修繕費用の負担区分など、知らないと売主に不利益となり得る事項について、宅建業者が事実と異なる説明をしたり故意に告げなかったりする行為は宅地建物取引業法に抵触する、という考え方を示しています。保険の分担は修繕費用の負担と密接に関わるため、あわせて確認しましょう。修繕費の負担区分はリースバック後の修繕費・火災保険は誰の負担?で詳しく解説しています。

保険まわりの契約前チェック

  • 建物の火災保険・地震保険を買主が掛けるか
  • 借主が加入を求められる保険の種類と補償額
  • 保険会社の指定があるか。今の保険を組み替えて使えるか
  • 借家人賠償責任保険・個人賠償責任保険が含まれるか
  • 建物が全壊・半壊したときの賃貸借契約の扱い
  • 買い戻し特約がある場合、被災時の扱いが書かれているか
  • 今の建物保険の解約日と未経過分の返戻額

保険料は家賃とは別に毎年かかる費用です。リースバックにかかる費用の全体はリースバックにかかる費用・諸費用の一覧で確認できます。

まとめ

リースバック後の保険は、「建物は買主、家財と借家人賠償は借主」が基本の分担です。火災保険だけでは地震による損害は補償されないため、家財を地震に備えるなら借主自身の地震保険が必要です。また、家が全壊すると賃貸借契約は終了するのが原則なので、住み続けることや買い戻しを前提にしている方ほど、被災時の扱いを契約前に確認しておきましょう。保険の条件も、売却価格・家賃と並ぶ比較の項目です(リースバックで失敗しない選び方)。

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よくある質問

Q. リースバック後も、今の火災保険をそのまま続けられますか? A. 建物は買主の財産になるため、建物の保険は買主が掛けるのが基本です。今の保険は、引き渡し後に解約するか家財のみの契約に変更するなどの見直しが必要です。一括払いの長期契約なら、未経過分の保険料が戻ることがあります。

Q. 借主が入る保険は何ですか? A. 家財保険と借家人賠償責任保険が一般的です。賃貸借契約で加入が条件になっていることが多いので、必要な種類と補償額を契約前に確認してください。

Q. 地震で家が全壊したら、住み続けられますか? A. 家の全部が使えなくなると、賃貸借契約はそれによって終了するのが民法の原則です。建物の保険金は所有者である買主に支払われ、建て直して再び貸すかどうかは買主の判断になります。被災時の扱いは契約前に確認しておきましょう。

Q. 借主が入る地震保険は控除の対象になりますか? A. 地震保険料には所得税・住民税の地震保険料控除があります。自分で掛ける家財の地震保険料が対象になるかは契約内容によって変わる可能性があるため、税務署や税理士にご確認ください。

参考資料

この記事の執筆・監修

リースバックス 編集部編集部

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