
病院・クリニックのリースバック|医療法人の資金調達と承継準備
病院・クリニック・医療法人のリースバックを解説。診療を続けながら不動産を資金化する仕組み、医療機器更新・建替え準備・承継資金への活用、医療法人特有の手続きや賃料負担の注意点をまとめます。
約8分で読めます
病院・クリニックは、患者との関係や許認可の面で移転が極めて難しい事業所です。リースバック(セール&リースバック)なら、同じ場所で診療を続けながら院舎や診療所の不動産を資金化できます。
✓この記事のポイント
- 病院・クリニックの土地建物を売却し、賃借して診療を続けながら資金化できる
- 移転に伴う患者離れ・許認可の取り直し・移転コストを避けられる
- 医療機器の更新、建替え準備、承継(親族承継・第三者承継/M&A)の資金に充てられる
- 医療法人の場合は理事会・社員総会など内部手続きの確認が必要
- 売却後は賃料が固定費になるため、診療収入とのバランス確認が重要
医療機関こそ「移転しない資金化」が活きる
医療機関の移転には、診療圏の変化による患者離れ、保険医療機関の指定や開設許可など許認可面の手続き、高額な内装・設備の移設コストが伴います。長年の立地そのものが経営資産であるため、移転を前提とする通常の売却は選びにくいのが実情です。
リースバックであれば、所有権だけを買主に移し、賃貸借契約で同じ建物・同じ場所での診療を続けられるため、医療機関の事情と相性のよい手法といえます。取引の基本的な仕組みは法人のセール&リースバックの基礎をご覧ください。
自宅を売却
不動産会社・投資家へ売却し、所有権が買主へ移る
賃貸借契約を結ぶ
同じ家について買主と賃貸借契約を締結する
住み続ける
毎月家賃を払いながら、引っ越しせず居住を継続
資金を活用
受け取った売却代金を自由な用途に充てられる
資金の主な使途
| 使途 | 内容の例 |
|---|---|
| 医療機器の更新 | CT・MRI等の高額機器の入替え、電子カルテ刷新 |
| 建替え・改修の準備 | 老朽化した院舎の建替え原資、耐震・バリアフリー改修 |
| 承継の準備 | 親族承継・第三者承継(M&A)に向けた資産の現金化・整理 |
| 運転資金・財務改善 | 人件費等の運転資金、借入金の圧縮 |
不動産を現金化しておくと、承継の際に「不動産のままでは分けにくい・引き継ぎにくい」という課題を整理しやすくなる場合があります。借入に頼らない資金調達という観点は資金繰り改善の解説も参考になります。
医療法人の場合の留意点
内部手続きと法人形態の確認
医療法人が不動産を売却する場合、理事会や社員総会の決議など、定款・法令に基づく内部手続きが必要になることがあります。また、持分あり医療法人か持分なし医療法人かによって、資産や承継をめぐる論点が異なります。ここでは概説に留めますので、具体的な手続き・影響は顧問税理士や医療法務に詳しい専門家に必ずご確認ください。
個人開業医の場合は、自宅兼診療所を対象にできるケースもあります。住まいと事業所を兼ねる物件の考え方は自宅兼事務所・店舗のリースバックで解説しています。
賃料負担と診療キャッシュフロー
売却後は賃料が毎月の固定費になります。賃料は一般に「売却価格×期待利回り÷12」が目安、売却価格は市場価格の6〜8割が目安とされます。診療報酬による収入は比較的安定している一方、賃料が長期にわたり続く点を踏まえ、診療収入に対する賃料の比率が無理のない水準かを事前に確認しましょう。契約期間(普通借家か定期借家か)も、診療継続の前提として重要な確認事項です。
よくある質問
Q. 診療を止めずに売却できますか? A. はい。売却と同時に賃貸借契約を結ぶため、休診せずに同じ場所で診療を続けられるのが一般的です。
Q. 保険医療機関の指定や許認可はどうなりますか? A. 移転を伴わないため影響は限定的と考えられますが、開設者・建物の権利関係の変更に伴う届出等が必要になる場合があります。所管の行政窓口や専門家にご確認ください。
Q. 承継(M&A)を予定していても利用できますか? A. 承継準備として不動産を現金化・整理する目的で検討される場合があります。承継スキームとの整合が重要なため、仲介機関や専門家と連携して進めることをおすすめします。
Q. 会計・税務の処理はどうなりますか? A. 売却損益の計上や消費税の取り扱いは取引条件で異なり、医療法人特有の論点もあります。必ず顧問税理士・会計士にご確認ください。
まとめ
病院・クリニックのリースバックは、移転できない医療機関が診療を続けながら資金を確保できる手段です。医療機器更新や建替え準備、承継資金の確保に活用できる一方、医療法人の内部手続きや賃料負担など確認事項もあります。手続きの流れはリースバックの流れを、サービス概要は法人向けリースバックをご覧ください。
大阪・関西の法人のご相談は、無料相談フォームよりお気軽にどうぞ。
この記事の執筆・監修
リースバックス 編集部編集部
リースバック・不動産売却に関する情報を、公的機関や事業者の公開情報をもとに調査し、利用者目線でわかりやすくお届けする編集チームです。制度や相場は変化するため、最新情報は専門家への確認を推奨しています。
監修:松浦 誠大宅地建物取引士
株式会社ハース所属の宅地建物取引士。大阪・梅田を拠点に、リースバックを含む不動産売買・賃貸借の実務に携わる。実務者の視点から、記事内容の正確性を確認しています。
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